

私は、不動産業こそゴールドカラーにふさわしいプロフェッショナルのビジネスだと主張してきました。
いまでもこの考えに変わりはありません。
それどころか、時代の流れはむしろ不動産のゴールドカラーの出現を本気で望んでいるのではないかという気さえしてきます。
それだけ日本の不動産プレーヤーに期待されるものは大きく、かつ厳しくもあります。
ここでゴールドカラーについて少し説明しておきます。
ゴールドカラーとは、ここ最近アメリカで使われるようになった言葉で、非常に高度な知識と高学歴、情報力、国際的視野を兼ね備えた一部のエリートホワイトカラーのことを指します。
別のいい方をすれば、アメリカでは生産技術の向上によってブルーカラーやグレーカラー(販売専門職)の地位が低下すると同時に、ホワイトカラーのなかでも事務職はもちろんのこと、単なる管理職やありきたりの専門職の地盤沈下も顕著になり、ホワイトカラーの中味も2極分化される傾向にあるということです。
単なるホワイトカラーでは生き残れない時代にアメリカは突入したのです。
アメリカのゴールドカラーにふさわしい職業として実に多くの職業があげられていますが、その特徴を一言でいえば、金融や税務・会計、経営に飛び抜けてセンスのある独立したコンサルタントだということです。
もちろん、不動産コンサルタントもこのなかに入りますが、不動産の知識だけではゴールドカラーとしては不十分です。
金融の知識や経験、それに国際的なセンスもこれからは必要になってくるでしょう。
ゴールドカラーになるためにこれらをマスターできるかどうかです。
アメリカでは、不動産の専門家は既にエリートとして市民権を得ていますが、日本ではまだまだです。
不動産業が詐欺師の代名詞に使われるようでは、エリートどころか普通のホワイトカラーでいることすら困難な状態かもしれません。
やはり日本の不動産プレーヤーの場合は、不動産投資ビジネスと金融の分野に注力するしかないような気がします。
この一つの世界で第一人者になれれば大したものですし、いまなら大した競争相手がいない状態でスタートが切れます。
こうしたビジョンを持つ不動産プレーヤーはほとんどいないはずですから、いまから自信を持って取り組めば大丈夫です。
ところで最近、Eさんが94歳で他界されました。
Eさんは日本の不動産業者の鏡であり、憧れの的であり、目標そのものだったのでしょう。
戦後の不動産業界の発展に尽力され、神様のように崇められていたEさんの死は、これからの時代の不動産のゴールドカラー像を描くうえで象徴的な出来事でした。
Eさんの偉業は数え切れないほどあります。
古くは東京湾の水面埋立事業から日本初の超高層ビルの建設、そして最近では東京ディズニーランドの開園等々、実に多彩です。
戦前戦後の動乱期に活躍されたその功績は、まさにゴールドカラーの名にふさわしいかもしれません。
そんなEさんがM不動産の会長職を辞任されたあたりから、M不動産のみならず日本の不動産業界全体がおかしくなり始めたのは偶然でしょうか。
Eさんが手掛けてきた国家事業の類はほとんどデベロッパーの手を借りずとも成り立ち、ニュータウンやリゾート開発も、素人同然のにわかデベロッパーの乱立、乱開発が当たり前の時代になってしまいました。
「不動産は国民生活に無くてはならないもの」というコンセプトも、いつの間にか地上げ屋が「社会の必要悪」を自認して一人歩きし出すうちに霞んでしまいました。
昭和末期の不動産バブル時代は、Eさんもさぞかし不本意だったに違いありません。
Eさんが不動産ビジネスの第一線を離れてから10年が経ちました。
この間にまさか日本の土地が外国人投資家にカラ売りされる事態になろうとは、Eさんにも想像できなかったでしょう。
日本の金融と不動産がこれだけ世界から売り浴びせられる事態に対応できるヒーローが待望されます。
しかし、これから現れるヒーローはEさんのような開発主体型のヒーローではないでしょう。
Eさんの他界は、日本の古き良き時代の不動産ビジネスが終わりを告げたことを象徴しています。
日本はもう2度とEさんが生きたような活力ある時代に戻ることはできません。
それだけ社会構造が激変しているのです。
やはりこれからの不動産ビジネスを支えていくのは、グローバルスタンダードに基づいた金融と不動産、それに世界の動きをよく理解できる新時代のゴールドカラーなのではないでしょうか。
Eさんの遺産を引き継ぎつつ、大胆かつ冷静に不動産ビジネスができるヒーローこそが、いまの日本には必要なのです。
日本の銀行マンのなかには、不動産と聞いただけでうんざりする人が数多くいます。
その気持ちはわからないでもありません。
全国の銀行融資残高500兆円のうち、いわゆる不動産業者向け融資といわれるものが60兆円近くも残っているわけですから、半端な数字ではありません。
昨年経営破綻した北海道拓殖銀行も、S証券も、根本的な破綻の原因は不動産への過剰融資です。
拓銀は銀行本体が率先して全国の不動産業者に融資を続け、Sは子会社のノンバンクを使って不動産融資にのめり込みました。
これ以外にも不動産融資にドップリとつかった銀行、ノンバンクは数え切れないほどありますから、いずれ淘汰が進むでしょう。
既に何度も指摘しているとおり、外国人投資家は日本の地価はまだまだ下がると読んであれだけ大量の銀行株をカラ売りしてきたわけですから、今年の不動産価格は相当下落するとみておくべきでしょう。
間接的な不動産のカラ売りはまだ続きます。
それにしても、日本の金融機関はいったいどれぐらいの不良債権を持っているのでしようか。
銀行も大蔵省も実態よりも相当少なめに不良債権額を公表しているに違いありません。
昨年2月の金融株の暴落は、銀行が不良債権の償却を進める一方で、実際は公表数字の何倍もの不良債権が隠されているのではないかという不安が背景にありました。
邦銀では唯一ニューヨーク証券取引所に上場している東京3菱銀行株でさえ、公表数字は信用できないという外国人投資家からの売りで暴落したのです。
ましてや他行の数字はもっといい加減なはずですから、日本の金融市場そのものの信頼性がまったく失われてしまったと考えるべきでしょう。
公表数字が嘘だったことがばれたときの海外の反応は相当厳しいものがあります。
かっては100兆円はあるというのが定説だった不良債権額も、ここで新たな時価評価をしてみればその2倍は下らないかもしれません。
これだけ資産価格が下がり、倒産と失業が増え続けるなかで、大蔵省も銀行の頭取も、不良債権の実態を把握できていないというのが実情でしょう。
おそらく、戦時中の大本営発表もこんな形で情報の隠蔽が行われたのではないでしょうか。
有名な話では、ミッドウェー海戦で日本軍は空母4隻と300機以上の航空機とその搭乗員を多数失いましたが、大本営発表では、日本軍の被害は空母と巡洋艦が一隻ずつ、航空機35機だけで、逆にアメリカ軍の被害は、実際には空母一隻を撃沈しただけなのに、空母2隻撃沈、航空機一20機以上撃墜と、まるで勝ち戦のように騒いだそうです。
当時の大本営は、軍人組織というより官僚組織化して身内をかばう悪習が身についていたようです。
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